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不倫は当たり前のことになっていく。専門家に聞いた『人はなぜ不倫をするのか』

『人はなぜ不倫をするのか』(亀山早苗・著/SB新書)は、著者が「人はなぜ不倫をするのだろう」という疑問を専門家に尋ねた一冊だ。

行動遺伝学/山元大輔
動物行動学/竹内久美子
昆虫学/丸山宗利
ジェンダー研究/上野千鶴子
宗教学/島田裕巳
性科学/宋美玄
心理学/福島哲夫
脳/池谷裕二

8つの分野を通して、不倫を考える。

著者は、不倫にまつわる作品が多い。女性の生き方を中心に、恋愛・結婚・夫婦の性をテーマに書くライターだ。

「不倫」という概念は、「結婚」という概念がないと成立しません。

確かにそうだ。
ゆえに、結婚のあり方について問いかけてくるのはジェンダー研究。

宗教学での不倫はどうか。
「姦淫してはならぬ」、不道徳な性行為を行ってはならないという意味の「不邪婬戒」などの教えはある。だが、不倫という概念はなくなるかもしれないと予想している。
人類社会から宗教は消え去るだろうと考えるためだ。

脳研究にいたっては、

「人は本来、不倫をするものだ」と考えるのは違うと思います。
人間は一夫一妻でやっていくほうが合理的なのです。

不倫だけでなく恋愛も「脳のバグ」、つまり錯覚だと考えている。ロマンもへったくれもないが、脳研究はクール。

不倫遺伝子というものはありませんが、相性には遺伝子が関係しているようです。(行動遺伝学)

ヒトはそれほど性ホルモンに左右されてはいません。そもそも、ホルモンによって性欲が増すのであれば、不倫ではなく相手は夫でもいいわけですよね。(性科学)

感情や行動が、本能や住んでいる環境・思想にここまでコントロールされていたとは。
もしかして、誰もが不倫をしてしまうのでは……?と少し怖くなった。

17年にわたり一般の人びとの不倫を取材してきた著者にとって、不倫は事実としてそこにある。
なぜ?は、不倫に限っての疑問ではない。ヒトはなぜ他者に興味を持つのか。
8人の専門家が語るその理由は、不倫への見方を変えていく。