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「絶対的エース」体操ゆか・白井健三の孤独を救ったのは誰か


「白井健三は、孤独だった。

白井の母・徳美、父・勝晃は、著書『ほめて伸ばす「白井流」で子どもの才能を見出す』(世界文化社)で、息子が抱えていた寂しさに気付いていた。

男子体操ゆか・史上最年少の金メダリストとなった、2013年の世界選手権。
シライと名のつく技を4つ持ち、ひねり王子と呼ばれることもある健三。違いは何かと聞かれても――、


「3回ひねりのときはグッと力を入れて、4回ひねりのときはググッと力を入れるんです」

あまりにも感覚的な説明。聞いた専門家も、わからず苦笑い。
前人未到の技を決める意識、凄さを共感してくれる相手が誰もいなかったのだ。白井の両親は、共に体操の指導者である。親としても、もどかしかっただろう。

しかし健三は、ある人物と出会った。


「内村航平選手と4回ひねりの話をすることができた」とニコニコして帰ってきました。
自分の感覚を理解してくれる相手に初めて出会ったのです。

内村も得意はゆかだ。
先輩ライバルの存在に「生き生きと表情を輝かせるように」なった息子。


アスリートの世界は頂上を極めようとすればするほど、仲間が少なくなっていきます。

彼らにしかわからない世界があるということです。

子供は自立し、親の手から離れていく。
嬉しいと同時に、寂しい。でも、頑張れ。

全員が体操選手である白井家3兄弟。試合が重なることがあれば夫婦で分担し、海外も追いかける。
親ができるのは、応援することだけだ。

家庭画報9月号(世界文化社)「日本男子体操、栄光の頂点へ」特別取材ページ。
内村航平・加藤凌平・白井健三・田中佑典・山室光史、代表5選手を演技の注目ポイントと共に紹介。チームメンバー同士で、お互いをこんな人とコメントし合っている。

「絶対的エース」と言われる内村航平。チームの最年長で、2児のパパとなった。
チーム最年少は白井健三。内村を「体操的にも人間的にも尊敬できる」と慕う。内村にとっての健三は、「チームに明るさをもたらす」存在。

内村の初めてのオリンピックは、2008年の北京。19歳のときだった。
健三も、1996年生まれの19歳。

体操男子団体は、予選4位で決勝に向かう。予選1位通過を狙っていたチームにとっては、厳しいスタートと言われていたが。選ばれた5人は、「肩を並べて頂上に立ち、同じ景色」を見れるアスリートだった。

日本時間8月11日は個人総合、15日からは種目別の決勝が続く (NHK放送予定リスト)。
個人総合は内村、加藤。種目別・跳馬に白井、平行棒で加藤が決勝に進む。
そして、種目別・ゆかに予選3位の内村と6位の白井だ。

応援し続けるしかない。