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庵野秀明「シン・ゴジラ」に安野モヨコキャラ名発見。夫婦エッセイ漫画『監督不行届』再読

公開から2日で動員41万2,302人、興行収入6億2,461万700円を記録した大ヒット映画『シン・ゴジラ』
そのエンドロールに、漫画家・安野モヨコの名前が載っている。

安野モヨコは、『シン・ゴジラ』の監督・庵野秀明の妻だ。
漫画家とアニメ監督というオタク夫婦の日常をつづったエッセイコミック『監督不行届』が、Amazon Kindleでは紙の本の44%OFF、486円(2016年8月5日現在)。

「キャッホー
 リニアモーターカーの試乗会 抽選で当たった!!」

うれしいと口がVの字になるカントクくん。庵野秀明だ。
「そうなんだー……」と聞き役になっているのは、妻・ロンパース。安野モヨコである。

目の前のリニアモーターカーにわくわくそわそわと落ち着かないカントクくん。
対して、鉄道関係に興味がない妻・ロンパース(ヨン様のことを考えている)。
試乗の後、カントクくんは「楽しかった?」とたずねる。
大好きな自分の趣味を大好きな人が楽しんでいないと、不安になるようだ。

お互いに大切にしているものがあり、それをはっきりと伝えあう。
ケンカもあるけど、すぐにおさまる(少なくとも、マンガの中では)。
カントクくんこと庵野は、クリエイターしても安野モヨコを大切にしている。

映画『シン・ゴジラ』のある場面で、安野のマンガ『オチビサン』の動画が登場する。

また、『シン・ゴジラ』の登場人物には安野のマンガのキャラクター名を用いている。
主人公・矢口蘭堂=福田蘭堂(『ジェリービーンズ』)
カヨコ・アン・パタースン(米国大統領特使)=重田加代子(『ハッピー・マニア』)
尾頭ヒロミ(環境省自然環境局野生生物課課長補佐)=福永ヒロミ(『ハッピー・マニア』)
花森麗子(防衛大臣)=坂巻麗子(『ハッピー・マニア』)
などなど。
他にも、2人で飼っている猫の写真や、安野が描いた着物のイラスト。妻に関連する小ネタが散りばめられていた。

『監督不行届』に収録された庵野監督インタビューからは、クリエイターとしての妻への深いリスペクトが感じられる。

嫁さんのマンガは、マンガを読んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。(中略)現実に対処して他人の中で生きていくためのマンガなんです。

『エヴァ』で自分が最後まで実現できなかったことが嫁さんのマンガでは実現されていたんです。ホント、衝撃でした。

『監督不行届』の刊行から11年、SNSでは「シン・ゴジラ」の感想が毎日熱い。
「『エヴァ』で自分が最後まで実現できなかったこと」を実現できたという手ごたえが、庵野監督にはあるのではないだろうか。