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吉田基已「イブニング」新連載「官能先生」は「真面目な淫らな愛の話」

7月26日発売のイブニング16号より、『恋風』『夏の前日』の吉田基已の新連載『官能先生』が始まった。

主人公は、鳴海六朗・四十歳、独り身。出版社に勤める。
同僚からの呑みの誘いに「姉の家でごはんを食べる約束してるんですよ」と先約を守り、2人の姪の面倒もよく見る。人の良さそうな顔に眼鏡をかけ、物腰も柔らかい。そして、ロマンチストだ。

おまつりの夜。

鼻緒が切れた下駄を、手慣れた様子で直す六朗。
その下駄の持ち主は、黒い髪を高い位置で結び浴衣の衿から白いうなじをのぞかせている。長いまつげの瞳。頬を染めながら六朗を見つめる。

きつねに化かされてた
今夜 僕は恋をしたよ

女の足の親指が、六朗の右手人差し指にちょん、と触れる。
六朗は、足に手を添え丁寧に下駄を履かせる。
差し出された手を取り、女は腰を上げた。

このシーンにはセリフがない。
女は、笑ったり名残惜しそうに振り返ったり、くるくると表情を変える。可愛らしく色っぽい。
2人は感じ合っているのだ。

もう二度と会うこともないだろう
それゆえ……
幻灯のような…… 一瞬の恋
なんて ロマンチックだと思わないか?

彼女のことを思い出しながら、原稿用紙に向かう。六朗は小説家でもあった。
「真面目な 淫らな愛の話」が語られていくーー。

女の素性はまったくわからない、#0|プロローグ回。
いい人過ぎな六朗が、どう乱されていくのか(それとも逆?)楽しみ。

次回は、9月27日発売号に掲載予定。

才能はあるのに自信がない美大生・青木哲生と画廊のオーナー・藍沢晶。哲生の絵に惚れ込んだ晶は、恋人としてパトロンとして、身も心も費やしていく。和服の似合う晶さんの、生々しい肉体やたおやかさにドキッとする。

年の離れた実の兄妹の禁じられた恋愛をテーマにした作品。アニメ化もされた。