2016.07.25
殺し屋におけるプロとアマの違い「HUNTER×HUNTER」3巻を振り返る
「これから行われるのは一方的な惨殺さ」
「試験も恩赦もオレには興味がない 肉をつかみたい…それだけだ」
「お前はただ泣き叫んでいればいい」
冨樫義博の『HUNTER×HUNTER』の休載が発表されてから3週間が経過。今日は単行本第3巻の内容を振り返っていく。
3次試験の長期服役囚との団体戦で最後に出てきたのは大量殺人犯・ジョネス(懲役968年)。老若男女わけへだてなく、50以上の肉塊に分解した殺人犯。犠牲者は146人。自称幻影旅団のマジタニが言っていた殺害人数19を7倍は超える数字だ。
素手で人の肉を素早くむしり取る、異常なまでの指の力を持っている。人の肉の感触に魅せられているらしい。
冨樫の漫画に出てくる殺人鬼は指先の筋肉が鍛えられていることが多い。3巻後半で出てくるキルアの兄・イルミも指先で穴を掘って地中に潜ってしまうし、冨樫の過去作『幽☆遊☆白書』に出てくる仙水さんの手下の神谷も指先で人を殺すタイプだった。
「素手で解剖してやるぜぁ————っ」
医師でありながら殺人を犯す神谷。一般人には致命傷を多く与えたが、対幽助戦ではかすり傷を一つつけるのが精いっぱい。脳内の興奮物質を自在にコントロールし、2コマで切断された腕をつなげるスーパードクターっぷりも発揮したが、敗北して心肺停止していた。
「ちょっと自分の肉体を操作して盗みやすくした」
「オヤジはもっとうまく盗む ぬきとる時 相手の傷口から血が出ないからね」
結局、ジョネスの方もキルアに心臓を握りつぶされて死んでしまう。指先の筋肉がビキビキしているキルアは、殺しの名門・ゾルティック家の出身。ジョネスはただのアマチュア殺人鬼であり、プロとはレベルが違うらしい。
全ての人間を殺してやりたいと思っていた神谷と、人の肉を掴むことが快感だったジョネス。二人とも警察に捕まった経験がある。
キルア、イルミ、シルバ(キルアの父)のゾルティック家と比べてみると、殺し屋としてのアマチュア、プロとの違いが分かってくる。ゾルティック家はあっさりと人を殺すため、騒ぎを大きくしないのだ。だから、警察にも捕まらないし、そもそも警察よりも強い。楽しみや個人的願望で殺人を犯す人と、お金のためにやる人とではやはりレベルが違うのだ。
しかし、生前、恩赦には興味ないと言っていたジョネスだが、なんとか釈放されて、シャバの世界で肉をつかみたいとは考えなかったのだろうか。刹那的である。
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