「Ring of Fortune」佐々木恵梨「わたしを救った一冊の本」インタビュー1

2015年にテレビアニメ「プラスティック・メモリーズ」OPテーマ「Ring of Fortune」で歌手デビュー。翌年には、ゲーム「STEINS;GATE 0」のEDテーマ「GATE OF STEINER」を歌い、同年「Animelo Summer Live」にゲスト出演。透明感あふれる歌声で一気に注目の存在に。今年10月26日には「Recalling」(PS4/PS Vita向けソフト「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」OPテーマ)リリース予定。作詞・作曲も手掛ける才能に恵まれた女性は、白い衣装でかろやかに取材場所にあらわれた。意外にも、かなり辛い時期があったらしい、そこから彼女を「救った本」とは───。

デビューのきっかけを教えてください。

佐々木恵梨(以下、佐々木) : オーディションです。元々はソニーミュージックの新人発掘でシンガーソングライターにエントリーされてから、専属作家という形で作詞作曲をしたり、コーラスや歌の仕事をやったりの中にアニメやゲーム系のお仕事もありまして。そのうちに「アニソンのオーディションを受けてみない?」というお話をいただいて、「ハイわかりました〜」みたいな。

佐々木恵梨

あれ、そんな軽いノリなんですね。

佐々木 : そうなんです。仕事のひとつとして軽く受けました。そしたら現場は「これはデビューがかかってるんだから!」とエラい雰囲気になってる。なのに、わたしだけあんまり実感がなかったです(笑)。

デビュー曲はアニソン(「Ring of Fortune」2015年)ですね。

佐々木 : はい、でも実はアニソンはあんまり詳しくなくて……。

おー、意外です。プロとして活動されるまでの音楽体験を教えてください。

佐々木 : 3歳から高校受験前までバイオリンを習ってました。小学校3年からはピアノも少しだけ。高1でバンドを始めました。文化祭でも演奏しましたよ。受験勉強も歌で乗り切りました、世界史をオリジナルの替え歌にしてテープに吹き込んで聴きこんだりして(笑)。京都大学に進学してからは、軽音サークルに入ったり、プログレ系のバンドを組んで、ライブハウスでバイトしたり、そこはもう、エンジョイって感じで。大学で組んだバンドの仲間とは、今も細々とですが活動を続けています。

本来はアメリカンポップス好き

プログレ、いいですね! いわゆるストレートなロック系バンドではなかったと。それはクラシックの影響もあるんでしょうか。

佐々木恵梨

佐々木 : まずは、ハードコアの聖地と呼ばれ、古くからジャズも人気の京都で、それらに影響を受けた先輩方と一緒にバンドをやるというその環境ですかね。ドラマーがジャズとハードコアが好きで、ベーシストがブルースが好きで、鍵盤は2人いて、クラシック、ポストロック好きと分かれてました。わたしが4拍子のメロディをやっても、5拍子とか7拍子に切り刻まれるんですよ、ドラマーに(笑)。本来はアメリカンポップス好きだったんですけれど。

鍵盤2人とは珍しい。バンドではどうやって作曲してたんですか?

佐々木 : うーん。バンド全員で物語を編んでいるような感覚でしょうか。例えば悲しい曲をつくりたいとき、わたしはメロディや歌詞で表現する。ドラマーはそれを受けてドコドコと刻む。表現の仕方は違うけど、悲しいの種類が一致していれば曲になっていく。音楽をつくることは物語を書くことと似ているなあと思ってました。

頭で考えちゃうところがあって

たしかに、佐々木さんの歌には物語を感じます。そして、ボーカルの透明感がその世界を決定づけてるような印象。

佐々木 : ありがとうございます。感情の種類を大切に歌うのは今も変わっていません。洋楽を主に聞いてきたんですが、日本語の感性の部分は、大好きなSalyuさん、椎名林檎さん、JUDY AND MARYさんあたりに影響を受けているかもしれないですね。デビュー曲の「Ring of Fortune」も、まずはアニメの世界観を強く意識しました、解釈して、そこから透明感を出そうと寄せていったみたいな。

まさに物語のように音楽をつくっていると。

佐々木 : 音楽と関係ないところでも、普段から理屈で割り切りたいというか、頭で考えちゃう性格で。「一体なんなんだろう、この現実世界は!」とかけっこう悩むタイプ(笑)。その説明を、物語や本に求めることもよくあります。辛いことがあったときは、音楽と読書に助けられてきました。あと、ミュージカルも大好きなんですよ。

ミュージカルって音楽と物語ですもんね(笑)。どんな作品がお好きですか?

佐々木 : 「ウィキッド」が一番! このあいだ観た「ドリームガールズ」もよかったですし、あとは「ブリング・イット・オン」とか。「リトルマーメイド」とか「アラジン」とか、ディズニー系も好きです。「ウィキッド」は音楽が本当によくて……。

音楽がグっとくるミュージカルは本当に泣けますよね、僕も「マンマ・ミーア!」は号泣でした。

佐々木 : 号泣ですか(笑)。

(構成・文/ヤマダユウス型)

後編 : 「Ring of Fortune」佐々木恵梨「わたしを救った一冊の本」インタビュー2

佐々木恵梨のオススメ本






心屋仁之助の作品は全部オススメで、「自分では意識していなかった部分を知ることができた」。最近読んだ本では『アミ小さな宇宙人』に感動。エンターテインメントもよく読み、お気にいりは『殺戮にいたる病』(我孫子武丸)で、「伏線を回収するミステリが好き」やはり、ロジカル気質だ。マンガだったら「やっぱり『ジョジョ』」だそうです(深いトークできそうでした!)
海外ドラマも大好き。休みの日は「hulu」漬けだったり。最近面白かったのは「キャッスル」。その他、「ヒーローズ」「リベンジ」「オーファンブラック」「メンタリスト」「フラッシュ」……つぎつぎとタイトルが飛び出してきました。

アーティストプロフィール

ささき・えり

ささき・えり

シンガー。作詞、作曲も手掛ける27歳。2015年にテレビアニメ「プラスティック・メモリーズ」OPテーマ「Ring of Fortune」で歌手デビュー。
福岡県出身、京都大学総合人間学部卒業。今年10月26日 2ndシングル「Recaling/Last Diary」(PS4/PS Vita「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」OP)発売予定。
海外ドラマ、ミュージカル、犬が大好き。最近は「人狼」にもはまっている。

商品情報

「Recalling/Last Diary」

発売日:2016 年 10 月 26 日
【初回限定YU-NO盤】《凪良描き下ろしデカ帯仕様》品番:FVCG-1392/価格:¥1,500(税抜)
【初回限定プラメモ盤】《動画工房描き下ろしデカ帯仕様》品番:FVCG-1393/価格:¥1,500(税抜)
【通常盤】品番:FVCG-1394/価格:¥1,500(税抜)
発売元:5pb.
販売元:株式会社 KADOKAWA メディアファクトリー
©MAGES./5pb. ©MAGES./Project PM