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映画化『森山中教習所』一緒に免許を取ったアイツは果たして友だちなんだろうか

何年も一緒だったはずなのに、特に思い出すことのないクラスメイトがいる。
短い付き合いなのに、
「今頃あいつ、何やってるんだろう」と思い出す、印象に残る人もいる。

7月9日映画公開される『森山中教習所』は、互いに「印象に残った」2人の話だ。

荒れた父親にも恋人にも無反応の、ぼーっとした大学生、清高。
清高の旧友で、髪を白髪に染めた新入りヤクザ、轟木。

普通に生活していたら再会することのない2人だが、無免許の轟木が清高を車でひいちゃったことで再会。2人で山奥の教習所でひと夏をすごす。

清高は免許を取ったら、荒んだ家庭と遠ざかり、自由に近づく。
轟木は免許を取ったら、正式にヤクザの運転手になる。

免許を取ってバイバイしたら、おそらくもう二度と会うことはない。
それがわかっているせいか、大したことのないやりとりが、ずっと切ない。
いっしょにメシを食う。アイスをかじる。
ヤクザの運転手になったら、同世代の友人と無邪気にアイスを食べることもなくなるだろう。
普通のアイスだけど、特別なアイスだ。

友達がヤクザと知ってどう思ったか聞かれて、清高は
「むしろ職についててえらいと思いました」
と答える。
多くの大学生と同じく、清高もぼーっとしているようで実は考えていることがある。

みんな違う人生を歩んで、二度と再会しない人も大勢いる。
けど、たまに思い出したり、思い出さなかったり。
ヤクザや山奥の教習所など、出てくるものは珍しいけど、描かれていることはとても身近なことだ