2016.07.01
5万5000冊が月額980円、アマゾンが読み放題サービスを8月開始
アマゾンジャパンが電子書籍定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」を日本でも開始することが明らかになった。アマゾンで電子書籍を提供する複数の出版社が、サービスに同意したことを認めている。アマゾンのサイトにフライングで広告が表示されたという報道もあり、キャプチャーされた画像によると、55000冊が月額980円で読み放題になる。
アメリカでは2014年に同様のサービスを開始しており、月額9ドル99セントで、サービス開始当初は約60万タイトルの電子書籍が読み放題になっている。現在はイギリス、イタリアなど10か国で提供されている。
日本の出版関係者によると、アマゾンは出版社に対して、主にロングセラーの書籍を提供するよう求めているという。コンテンツの提供は出版社が選んで行うことになるが、文芸書などは刊行2~3年たった作品を中心に提供する社が多いとみられる。
読み放題サービスとしては、コミック中心の「Yahoo!ブックストア」(月額400円で2万冊以上)、auユーザー向けの「auブックパス」(月額562円で4万冊)がある。ただし、前者はかなり古目のコミックが中心(おすすめのトップが池沢さとし『モデナの剣』)、後者はTLコミック、ロマンス系コミック(上半期トップ3を宙出版が独占)など偏りが見られるため、アマゾンの読み放題サービスに対するユーザーの期待は高まっている。
また、雑誌では「dマガジン」(月額400円で160誌)が好評を博しており、dマガジンユーザーもアマゾンの読み放題サービスへの期待感は高い。
一方、提供者側は「売り上げの減少が続く文芸書は読み放題に活路があるかもしれないが、それによって紙の本が売れなくなる事態は避けたい」(朝日新聞の取材に応えた大手出版社幹部)と都合の良いことを言っている。今後の推移に注目したい。