「イギリスがEUから離脱」を簡単に理解したい
イギリスがEUから離脱!?
って、それで、何がどうなるのか? 世界はどうなるの?
残留派のほうが強いって言われてたのに、なぜ離脱派が勝ったの?
いろいろと判らない。
ネット上にはあれこれ強引な解説が流布してるけど、冷静にどう考えればいいの?
という人にオススメは、『週刊ニューズウィーク日本版2016年6/28号』の「特集 英国はどこへ行く? EUはBrexitを生き残れるか イギリスの決断」だ。
「Brexit(ブレグジット)」は、British(英国)+Exit(離脱)を組み合わせた造語。「英国のEU離脱」の意味だ。
まずは、いまの状況をズバっと俯瞰する4ページ。
欧州統合の歴史を振り返る写真や、現状に不満を持つ漁業関係者や首相の写真などでビジュアルも充実。
その後に。
・残留派のサディク・カーン市長による記事。
・離脱派の意見をまとめたジャーナリストのコリン・ジョイスの記事。
・経済を視点軸とした記事。
最後に、キャメロン首相とジョンソン前ロンドン市長の戦いを軸にした記事。
もちろんこの記事を鵜呑みにするのも、まずいだろう。
だが、短い特集記事で、残留派・離脱派双方の意見もていねいにまとまっている。
考察のスタートとして便利だ。
多くの識者や著名人は残留派だ。
離脱派でさえも、離脱すると経済的にヤバイという推測は否定できないようだ。
では、なぜ離脱派が(予想に反して)過半数を占めたのか。
記事から読み取ると、
“イギリスはEU加盟国28ヵ国の1つでしかない”が大きなポイントのようだ。
当然といえば当然なのだが、自国の都合ではなく、ヨーロッパの都合にあわせなければならなくなった。
“EU本部は各国民の意向にお構いなく、自分たちが良いと思う仕事を行うエリート集団”に見えてしまう。
そもそも、73年にヨーロッパの仲間入りしたときはECであり、自由貿易圏にすぎなかった。
ところがECは、EUに変わり、組織も変わった。
権力も規模も巨大になった。国民投票も行われずに、だ。
騙されたという思いもあるだろう。
もう1つのポイントは「EUが素晴らしい」とは言いがたい。残留派でさえ、そうなのだ。
「手探りしながら、協力してやっていこう」といった状態でしかない。
そこで、“自国の主権をカネのために売り飛ばしていいのか”と問われたら、どうだろうか。
この問い方は、ヒロイックにすぎるように思える。
が、そう問われていると感じる人も多かったのではないか。
米外交問題評議会のリチャード・ハース会長の指摘を引用する。
“「ブレグジットが現実になれば、イギリスは影響力の低い片田舎の国になる。それ以外の可能性は考えにくい」”