1年B組のママに俺はなる!ママ系ヤンキー漫画『頂き!成り上がり飯』1巻
「1年B組のママに俺はなーーーる!!」
ヤンキー漫画のセリフである。しかも主人公。
2016年6月13日発売『頂き!成り上がり飯(1)』。不良高校の頂き(てっぺん)を取りにいく高校生・ケニーの物語だ。
さっそく第1話 1ページ目から、メリケンサックを武器に戦う3年生・メリケンとのケンカに挑む。ケニーの武器は根性。そして「料理」。どういうことだ。
ケニーがヤンキー達に振る舞う料理は、お弁当のエビフライ、爆弾おにぎり、ツナサンド、カレーと、どれも家庭的。愛に飢えグレた高校生も「母ちゃん」を思い出さずにはいられない。
ケンカ・友情、という不良漫画の二大要素。そこにポンッと放り込まれたヤンキー達の「食事」シーン。ケニーの料理を素直に美味しいと喜ぶ高校生達の姿が微笑ましく、キュンとさせられる。
そうかと思えば、
「(朝飯なんか)食ってねぇよ!
子どもの貧困率は16.3% 6人に1人は貧乏なんだよ!
朝飯食う余裕なんてねーーーんだよオラ!」
と、一瞬シリアスな話になることも。
緊張感に包まれがちなヤンキー漫画に、温かい家庭料理の要素を加える。その組み合わせの振れ幅が、話のテンポに貢献する。
欲を言えば、第2巻ではケニーの調理シーンがもう少し増えると嬉しい。
男子の調理シーンは、テレビ番組でも人気コンテンツだ。それに、片親のケニーがいつも何を思ってご飯を作っているのかが気になる。
作者の奥嶋先生は、これまでも不良漫画を多く描いてきた。実は、気配りや料理が得意な女子力ヤンキーは、2014年に実写化された『アキラNo.2』にも登場している。
『頂き!成り上がり飯』も、美味しそうな料理の描写とケニーのイケメンっぷりに、実写化も期待してしまう。