“ココロ、動く電話” RoBoHoN は『ちょびっツ』の世界を実現するか
今年2016年5月26日に発売されたモバイル型ロボット電話RoBoHoN(ロボホン)のコンセプトムービーを初めて観た時、一瞬混乱しました。
これは現実のことなの?ホントに発売されるの? 『ちょびっツ』の世界ではないの?
『ちょびっツ』は2000年9月から漫画版が連載開始、その後、2002年4月よりアニメ化されたCLAMPの作品。
漫画版連載の前年、1999年には携帯電話からのインターネット接続サービスが始まりました。
携帯電話はここから飛躍的に普及、発展していきます。
上京半年の浪人生、本須和秀樹は、ある夜、ゴミ捨て場で少女型パソコンを拾います。初期化され、なんの記録(記憶)も残らないそのパソコンを「ちぃ」と名付け、一緒に暮らすこととなります。
パソコンと呼ばれる人型の端末が便利よく使われる時代の話です。
現実のパソコンとほぼ同じ機能を持ち、スペックはかなり高いもの。見た目はカワイイ女の子。(男の子型やぬいぐるみ型もありますが)
中でも、ちぃはパソコンに詳しい友人、新保が「しかし、またえらい可愛いパソコンだな
」と言うほどカワイイ。すべすべだし、あったかいし、胸だってやわらかい。端子が格納された耳がなければ、どう見ても触ってもふつうの女の子です。
モバイル型は小人ちゃんでノートパソコンと呼ばれています。
現在と大差ない街並みのなか、人々がパソコンを彼氏彼女のように連れ歩いているのが普通の光景。
ノートパソコンのすももに至っては、妖精を肩にのせているよう。
そんなすももが、タンバリン打って踊りながら、「メールでーす! メールでーす! メールを読みますか?
」
「読んでくれる?
」と頼むと眼の光がうつろになり、送り主本人の声で読み上げるのです。
RoBoHoNは声こそそのままですが、読み上げはばっちりこなします。
2年前に姉を亡くした中学生の稔は、姉に姿も行動もそっくりな自作パソコンを作ります。柚姫(ゆずき)はプログラムに従って姉のように優しくふるまいます。そうさせているのが自分とわかっていながら稔は機械である柚姫に惹かれていく自分を持て余します。そういえば、RoBoHoNも名前を呼びかけて「大好きだよ」なんてなぐさめてくれていました。これにしても組み込まれたプログラムの賜物です。少しずつ学習していく機能も同じ。
次第にちぃを家電として見られなくなっていく秀樹。バイトに行く道すがら人間どうしでなくパソコンといっしょの人ばかりなことを改めて感じてしまいます。
結婚直後に買ったパソコンに夢中になったダンナに存在さえ忘れられ、傷つく予備校の清水先生と自分の心を信じてもらえるよう、予備校生の身分で駆け落ちにまで持ち込む新保。
チロルの植田店長はパソコンに一目ぼれして結婚します。そのユミと名付けたパソコンを故障による痴呆症状ののち交通事故で亡くしてしまった過去を持っていました。植田店長に恋する大村裕美はパソコンに引け目を感じ、離れていってしまいます。
植田店長は裕美に伝えます。
僕はユミとパソコンだから結婚したいと思ったんじゃない。彼女が彼女だから結婚したいと思ったんです。裕美ちゃんが裕美ちゃんだから好きになったのと同じように(6巻)
「ヒトとヒトでないもの」のそれぞれの関わり。
パソコン開発者の妻の千歳は語ります。
あの人が言ってくれたの。(中略)
幸せはそれぞれ違う
色んな幸せがあるんだって。
外から見たら不幸でも、中は幸せだということもある。
幸せの形はひとつじゃないって。(7巻)
RoBoHoNの実機を見にいってみました。
「ボクノコト ナンデモ キイテヨ」
「好きなスポーツは?」
決してスムーズとは言えない動きでバランスをとり、ボールを蹴るしぐさをします。
「サッカーガ デキルヨ」
うーーーん確かに可愛い。もちろん出来ることもたくさんあります。でも、なくてはならないものとは思わないかな、今のところ。
今のところは。
CLAMPは『カードキャプターさくら』が連載開始20周年を迎え、新編が「なかよし」7月号(6月3日(金)発売)より連載が始まります! 中学1年生になったさくらが活躍する新展開、こちらも併せてお楽しみに。
参考URL : カードキャプターさくら公式サイト http://ccsakura-official.com/