地方Disの教科書!『翔んで埼玉』を読んで春の出会いに備えよ。

こんにちは、作家の架神恭介です(『戦闘破壊学園ダンゲロス』 『放課後ウィザード倶楽部』)。

突然ですが、地方Disってたまらない魅力がありますよね。
茨城県人に向かって「納豆臭え」と言ったり、愛知県人に向かって「名古屋県人」と言ったり、滋賀県人に向かって「滋賀って琵琶湖の周りにくっついてるアレ?」と言ったりなど、偏見と先入観を過剰に膨らませてバイアスばりばりで地方を語る行為には代え難い喜びがあります。

ですが、そんな素晴らしい地方Disですが、いざやってみると多くの人はすぐに息切れを起こしてしまうことでしょう。
地方Disには多彩なボキャブラリーと該当地方に対する深い見識が必要とされるからです。
子供の口喧嘩が「アホ、バカ、おまえの母ちゃんでべそ」でボキャブラリーの限界に達するように、大抵の地方Disは竜頭蛇尾な結果へと陥りかねません。

しかし、巨匠魔夜峰央先生による本作「翔んで埼玉」では、様々なバリエーションの埼玉Disを展開しており、まるで息切れを感じさせません。

表紙カバーにも採用されている「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」を始めとして、

埼玉から東京へ行くには通行手形が必要
埼玉県民特有のこやしの匂いがぷんぷんしてるわ!
雪の結晶が草加せんべいの形をしている
サイタマラリア
ああいやだ! 埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!

etc……。「翔んで埼玉PartI」では32ページの中に実に22種類ものバリエーションの埼玉Disが展開されており、さらにそんな短編が3作も収録されているのです。
まさに地方Disの教科書とも言うべき作品ではありませんか。

季節は春。地方Dis行為にとってはまさに本番到来です。
新入社員歓迎会などに向けて、これから地方Disの道を邁進せんとする人たちには是非チェックして欲しい一冊です。