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やりすぎギャンブル漫画『賭ケグルイ』8巻 賭博以前の問題を打ち破る

ものすごい勢いでガンガンJOKERが刊行している『賭ケグルイ』シリーズ。
高校生が本物の銃でロシアンルーレットしたり、賭けの負債として人生を支配されたり。上限しらずのやりすぎ感が楽しい。

8巻ではさらにムチャをやらかしている。
主人公の蛇喰夢子はギャンブルの天才にして、リスクを背負って戦わないと気が済まない狂人。
そんな彼女が一時的に脱落してしまう。

理由は、相手の
もうギャンブルでもなんでもない。
もっとも、ギャンブルがらみの「暴力」は、現実社会でもいくらでもありますわな。

この作品は夢子が異様に強すぎるため、本編はギャンブル漫画というより「ギャンブルで興奮する変態超人・夢子」を見るマンガとしての面白さが強い。
8巻では戦えなくなった夢子の代わりに、なにがなんでも勝ちたいと食らいつくもう一人のヒロイン・早乙女芽亜里が物語を進めていく。

スピンオフ『賭ケグルイ双』では、学校のギャンブル超人の中で、こつこつとがんばる、真っ当な熱血漢一般人として描かれる芽亜里。
他キャラと違って変質的なこだわりが一切ないので、彼女が登場すると『双』も本編も、「頭を使った真っ当な、侠気あふれるギャンブル漫画」らしさが色濃くなる。
本編8巻の夢子救出戦での芽亜里のヒーローっぷり、惚れ惚れします。

もう一人、選挙管理委員の黄泉月るなが、これまたかっこいい。
アニメでは全く何を考えているかわからないキャラとして描かれる彼女。
暴力が挟まれた8巻で、ギャンブルにおけるディーラーの立場を、ある方法で体現する。
勝ち・負けに向き合う、もう一つのギャンブル思想「中立」が表現されている。必見。