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営業部武田本部長(47歳)がある朝突然、赤ちゃんになってしまった『赤ちゃん本部長』が面白すぎる

竹内佐千子による“社内育児マンガ”『赤ちゃん本部長』が話題だ。

『モーニング』編集部と『FRaU』が共同編集する子育て世代向け電子雑誌『BABY!』に連載されているもので、現在4話まで公開されている。『BABY!』4号の表紙を飾っているのは『赤ちゃん本部長』だ。同サイトのアクセスランキングも1位から4位までを占めている。ネットでは「ウチでは赤ちゃんのことを“本部長”と呼んでいる」という書き込みも見た。それぐらいハマる人が多い。

ストーリーはタイトルのままで、営業部の武田本部長(47歳)がある朝突然、赤ちゃんになってしまったというもの。中身はコワモテの本部長だが、身体は赤ちゃん。まず、そのギャップがおかしい。

眉間にしわを寄せて「うむ 今日もよろしく頼む」と言うけど、外見は赤ちゃん。デスクにはパソコンと哺乳瓶、近くにはベビーベッドもしつらえてある。仕事はバリバリこなすが、昼になると昼寝をしてしまう。「会社」と「育児(赤ちゃん)」というギャップそのものがギャグになっている。

もう一つの魅力は、チームワークが気持ちいいこと。部下の坂井部長(40歳)、天野課長(35歳)、ヒラの西浦(28歳)は、本部長が赤ちゃんになってしまったことに驚きつつも、業務を遂行するためにきめ細かく本部長をサポートする。第1話の2ページ目では、赤ちゃん用品を買い揃えようとしている素早さだ。目の前で起こる出来事に多少動揺しつつも、淡々と処理していく様が素晴らしい。

そして何よりも、読んだ後に心が豊かになる。それはなぜかと考えてみたが、この作品には「赤ちゃんを侮らない世界」が広がっているからじゃないだろうか。

赤ちゃんを大切にしよう、ということぐらい誰でもわかっているはずなのに、赤ちゃん(とその親)に対する世間の目は冷たい。泣き声は舌打ちされ、うんちを漏らせば顔をしかめられ、ベビーカーは邪魔扱いされる。でも、『赤ちゃん本部長』では、会議中にうんちを漏らしても、取引先にベビーカーで行っても邪険にされない。本部長だからだ。

1話で、赤ちゃんになったばかりの本部長が取引先を回るシーンがある。ある会社の人は驚きながらも、いつもどおり商談をしてくれたが、ある会社の人には「赤ん坊相手に仕事できるわけがなかろう」と拒絶される。「だいたい赤ん坊っていうのは母親のものだろう? 誰かいい女性を見つけて育つまでゆっくり休んだらどうかね」と言う相手に向かって、赤ちゃん本部長は静かにキレる。

「お言葉ですが赤ん坊を母親のものと思うのは感心しませんね 赤ん坊でも一人の人間です。誰のものでもない!!」(そして抱っこされて帰る)

3話のラストでは、本部長をかいがいしくサポートする部下たちのプライベートが描かれるのだが、これがまたいい。読んでいて「オッ」と声が出た。ぜひ読んでもらいたい。

子育てにまつわる「あるある」だけでなく、現代における働き方、人々の多様性までフォローしている『赤ちゃん本部長』。あなたが街で見かけた赤ちゃんは、実は本部長かもしれない。無料閲覧期限は8月31日まで。