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11年の時を経てついに完結『かんなぎ』ナギと仁の恋の行方は?

2006年、『コミックREX』誌で連載開始されてから足かけ11年。『かんなぎ』がついに完結。途中でアニメ化もあったり、実の兄・結城心一によるスピンオフギャグ漫画『かんぱち』が描かれたり、賑やかなお祭りのような作品でした。

御厨 仁(みくりや じん)の作った精霊像から顕現した「産土神」(うぶすながみ)を自称する少女、ナギ。神を名乗る尊大な態度とは裏腹に、駄菓子を好んでテレビを観たり、ダジャレを連発したりと、なんとも庶民派な神様です。ナギの目的は、蜘蛛のようなシルエットの「ケガレ」を祓うこと。仁とナギの共同生活は、やがて大勢を巻き込んで、仁たちの暮らす神薙町の存亡に関わる危機につながっていきます。

11年前の連載当時。まず、ナギの見た目に惚れました! 前髪パッツン、和装を意識したノースリーブシャツ、ひらひらのミニスカート。すべてがドストライクの超絶可愛さ。にもかかわらずナギのグータラな居候っぷりがおかしくて、テーブルの上に魔女っ子ステッキを瞬間接着剤で刺してしまった回(1巻)はお腹を抱えて笑いました。ナギの浮世離れした感性が織りなす日常が心地よいのです。

最終巻では、巨大なケガレに立ち向かうナギが熱かった。信仰心を集めるライブで、ざんげちゃんがド音痴。ケガレを退治するための大祓祭が失敗しそう。そんな時、ライブステージにナギが駆けつけます。

「この、ド下手クソがぁーーーーっ!」

開口一番、マイクパフォーマンスで場を盛り上げるナギ。指摘されたざんげちゃんが顔真っ赤にする表情もめっちゃ可愛くてイイ。
そのままナギがオリジナルのライブ曲を披露。仁への恋慕を歌った歌詞は、消えゆくナギから仁へ送る最後のラブレターでした。ナギも仁。両想いなのに届かない恋が本当に切ない。
観客の声援は、そのまま信仰心となってナギの力になります。しかし力を振るえば振るうほど身体が透けて、ひび割れていくナギの身体。それでも巨大なケガレに立ち向かうナギに、仁ができることは───。

物語はハッピーエンドで終わります。それも『かんなぎ』のテーマである「縁」(えにし)を感じさせる素晴らしい大団円。途中で大病を患った作者の武梨えりですが、11年間の連載をこうして完結させたことに感謝を。
アニメで作品を知った方や、途中まで読んでそれきりという方にも、この機会に全巻を一気読みしてほしい退魔ラブコメに仕上がっています。